2011年12月01日

2011年12月

先月、高校生の息子が修学旅行に行ってきました。
今年は関東東北方面を予定していた多くの学校が東日本大震災の影響で
旅行先を西日本へと変更しており、私の勤める学校も東京ディズニーラ
ンドから大阪ユニバーサルスタジオに変更しましたが、息子の旅行先は
はじめから鹿児島と決まっていたようで、3泊4日、悪天候の中、出かけ
て行きました。
修学旅行の内容はというと、鹿児島の知覧で特攻隊の歴史を学ぶ平和学
習、地元の農家や漁師さんの家に民泊して農業漁業体験、小さなレジャ
ー施設の遊園地、博多でお買い物、というもの。

この内容を見た時には正直、「周りの高校は沖縄や北海道や海外へとリ
ゾートに行くのに、この学校は平和学習に農業体験に民泊?なんと地味
な…
せっかくの最後の修学旅行なのに何やねん、きっとコテコテの社会の先
生あたりが計画立てたんやろな、息子もかわいそうに」と思ってたので
すが、修学旅行を終えて帰った息子の話を聞き、この修学旅行の奥の深
さを知りました。

なんと言っても素晴らしいのが「民泊」。一軒の家に4人ほどの生徒が
泊まらせてもらうのですから、50軒近い地域の民家が子どもたちを受け
入れるのに協力しておられるのでしょうか。
息子がお世話になったのは2人暮らしのご夫婦で、話を聞いてるとそれ
はそれは素晴らしい方で、とても親切にしていただいたことはもちろん、
「何がしたい?」と聞かれた息子たちが「キレイな景色が見たい」と言
うと、一緒に山登りをして美しい景色を見せて下さったり、庭に作って
おられるツリーハウスに登らせていただいたり、温泉に連れてってもら
ったり、畑に生えてる胡麻を採り、それを選別したりや生姜を収穫させ
て頂いたりと、他では経験できないことをいろいろさせてもらったよう
です。
そのご夫婦は子ども5人を育て上げ独立させたあと、転勤生活だった会
社を引退され、念願の田舎暮らしをされてるとのこと。
エコ活動や地産地消を日々実践しておられる方で、料理も野菜たっぷり
で、息子はとれたて野菜の美味しさを実感したらしい。私が作る野菜料
理など文句たらたらで残すくせに、「うまいうまい」と山ほどおかわり
したとか。
一緒に薪でお風呂を湧かしながら、「山から芝を取って来てお風呂を沸
かすことで山がキレイになり自然を守れる。このあたりでも薪で沸かす
お風呂に変えている家が増えているんだ」と教わったり、畑の作物を食
卓に並べるのがいかに豊かな食かを知り、息子がご夫婦のくらしぶりに
触れたりお話を聞く中で感じた事はこの上ない学習になったようで、人
としてとても大切な事を学んできたのです。
家で親がいくら伝えても知らんぷりだった息子が嬉々と話す内容に、私
は、実体験から学ぶことの速効力・浸透力を実感しました。

祖母以外の年配の人とじっくり話す機会のない息子にとって、このよう
な年配の方の生き方に触れるのは初めてで、お二人との関わりを通して
大切なことを教わる貴重な機会となったようです。
このような学習は、親がさせたくてもなかなかさせられるものではあり
ません。ていうか親が言えば反発しか返ってこない。

地域がこのように、修学旅行の子ども達を受け入れ、日本人として大切
な原点を自分たちの生き方を通して伝える、こんな素晴らしい形の修学
旅行もあるのだと改めて知りました。

普段は無感動この上ない息子が、楽しそうに私にいろいろ自分が学んで
きたことを教えようとする姿に私は感動してしまいました。

ゲームやパソコン三昧の困った奴をここまで感動させ、人間教育して下
さるなんて…すごい!
こんな素晴らしい内容の修学旅行を企画した学校は素晴らしい!


「なんやこの地味な内容は! ショボいし楽しくもなんもないやんか。
こんな企画を考えた根暗な教師の顔が見たいわ」なんて思ってゴメンな
さい。
他の学校が派手なリゾートに走る中、学習の基本を貫き 人間の行き方を
学ばせる企画を作った先生、あなたは素晴らしい!

息子は「鹿児島の人は最高!」と、すっかり鹿児島ファンになり、それ
からというもの、朝食にパンと飲み物しか出さない私に「鹿児島では、
朝はご飯に味噌汁に野菜にとちゃんとした朝食を作ってくれはった。
あれが本当の朝食や」と正しい朝食を要求し、「夕食の品数が少ない」
とか「手がこんでない」とか、まるでワンマン亭主のように文句が増え、
何かあるたびに鹿児島のご夫婦と比べられて私はさらに忙しくなりまし
たが、息子の考え方を変え親の気持ちまで満足させてもらえた修学旅行
に感謝しきりなのです。


posted by 安楽満 帆志 at 00:00| Comment(0) | エッセイ