2012年10月01日

2012年10月

蝉の声がいつのまにか消え、風や景色はすっかり秋模様。
すすきの穂がたくさん出て、私の楽しみにしてるむかごの
蔓(つる)があちこちにからまって小さな実をつけています。
(ワクワク…) もうすぐ むかごご飯の季節。

私の職場の周りにはむかごやアケビがいっぱいなっていて、
秋の収穫の楽しみのひとつです。

私は、なぜなのかわからないのですが、ムカゴには異常に
「血が騒ぐ」んです。
見つけたら採らずにはおれない。車で走っててムカゴの
ツルを見つけたら止まらずにはおれない。採りだすと
もう止まらない。

食べるより採るのが好き。たまに小さなじゃがいもほどの
サイズを見つけた時にはその場で小躍りしたくなるほど
うれしい。もう丸1日ハッピーって感じ。

職場の人に「見て見て!!」と見せびらかしますが、みんな
反応は冷やか。
喜びを分かち合いたいのに分かち合える人がなかなかいない
のが寂しい。
家族は「ムカゴご飯きら〜い」と、こちらも冷たい。

いつか誰かと一緒にムカゴ採りをして、一緒にムカゴご飯を
「おいしいね〜」と言いつつ食べたい!! と思うのですが、
なかなか皆さん「ムカゴ? 何それ」という反応なので、
寂しい限りです。
山のきわにひっそりと群生し、ポツポツ実をつけてる姿、
美しいんだよ〜。

歳とともにこういう山や野の目立たぬ所でたくましく
つつましく生きながら実をつけるものが好きになり、
せっせと探しに走る日々なんです。
一度、友達が「スーパーでムカゴ売ってたし買ってきて
あげたよ。好きやったやろ」とくれたことがありますが、
違うんだな〜。 買ったのでは意味がないんだよ、実が
なってるのを見つけるのが楽しい、採ったのを食べる
ところに美味しさと喜びがあるんですわ。

それを職場の今どきの若者に話して「一緒に採りに行こう」
と誘うと、
「僕、草むら無理ですわ。何が出てくるかわからんし
怖いですもん。採ってきて食べさせて下さいよ」
と言う。
この若者、大阪の都会育ちなもんで、ヨモギ摘みを
手伝わせた時も、ヨモギと雑草の区別もつかずてんとう虫が
飛んだだけで情けない声を上げとった。
「そんなことでどうする!! 子どもが生まれたら一緒に
虫捕りにも行けへんで」と言うと、「捕りに行かんでも
ホームセンターに売ってますやん」と真顔で言う呆れた
奴なんです。
自然に全く興味がないので、私を含む何人かの先輩が
何とか彼をワイルド化しようと「改造計画」なるものを
立てて、いろいろ山や川へ誘ったりするのですが、
「やめときますわ」と速効で断る。
ダンゴムシの観察とか花の写生では、生徒に偉そうに
「触って観察してごらん」とか言うくせに自分は絶対
触らない。
私と仲良しの男性(40代。私の虫捕り仲間)に「景色の移り
変わりとかに気をつけてみろ。生活が豊かになるって!」
と言われても
「メンタルの豊かさより現実の豊かさがいいなぁ。
給料上がったほうが絶対生活は豊かですやん」
と、とりつくしまもない。
こういう20代の若者が職場に年々増えてきて、彼らも歳を
重ねると少しは変わるんだろうか、と心配になりますが、
40代の先輩が、「教科書の理科を文章だけで教えてても
子どもには響かない。
上っ面の棒読み授業になるやろ。実体験させてこそ定着する。
そのためには自分がまず実体験してみる必要がある。
体験して学んだ知識が自分にあれば、教科書に書いてない
おもしろさや背景を教えられるし、それこそが楽しい授業や。
教えられることが広がるんや。」
と言ったのですが、
「それはわかりますけど、僕ら学校で体験学習なんてして
きてないですもん。教科書だけで勉強してきたし、それで
不便も感じたことないです。草むら入ると痒くなりますし、
そのぶんは知識で補うように頑張りますわ」
と若者は言う。
「自然は学習の宝庫やぞ。見て、触って、興味がわいたり
広がったりするんや。紙もんの教科書ではなく、生きる
教科書なんやって。このパーツとこのパーツをくっつけたら
ガンダムができます、と本で説明されるより、実際に自分で
プラモデルを組み立ててみた方が理解できるやろ。楽しく
覚えられるやんか。それと同じや。子どもの頃にそういう
喜びって感じたことないか?」
「う〜ん、言わはることはわかるんですけどねぇ。」
「虫捕りに行った経験もないんか?」
「虫捕り? う〜ん、めんどくさいですしね」
「めんどくさい!? めんどくさいとはなんや!」
虫好き彼に火がつき…話が噛み合わず。

私が虫好き彼に「年代のギャップですかねぇ。自然の
美しさを愛でて感動し、生活に取り入れたいと思うのは
40過ぎ以上の世代でしか無理なのかなぁ。」
とつぶやくと、虫好き彼は
「世代のギャップやない。人間性のギャップや。心の
豊かさのギャップや」
と半分憤慨したように言ったのを聞いて、若者は
「一度一緒に行ってみますわ。」と渋々言ったので、
先輩の彼が、
「まずは虫捕りからや。黄金色に輝くたんぼでトンボ
捕りにみんなで行くぞ!」
と 言いました。

みんなって、私も!? ムカゴ摘みの話やったのになぜ
トンボ捕りに?だいたいてんとう虫でキャーキャー
逃げてた若者がいきなりトンボなんか無理じゃん!
と心の中で思いつつも、結局虫好きの彼に私まで
行きたくもない虫捕りをつき合わされることに…
この時初めて「 めんどくさ〜」という彼の気持ちが
理解できた私なのでした。



posted by 安楽満 帆志 at 00:00| Comment(0) | エッセイ