2014年11月01日

2014年11月

10月になり、あちこちの田んぼでは稲刈りもほとんど終わりました。
この季節、田んぼの横を車で走っていると稲藁の乾いた匂いがして
「秋やなぁ」と感じます。刈り取りを終えたベージュ色の田んぼでは
白鷺が虫をついばんでいて、なんかホッとする風景です。

我が家の小さな庭にも秋明菊、ホトトギス、河原撫子、金木犀などが
花ざかり。窓を開けると金木犀の甘い香りがして幸せな気分になります。
このホトトギス、毎年イガイガした毛虫が葉を食べてしまい、
情けない姿になってしまうので見つけたら捕るようにしてるのですが、
今年も大半の葉が食い尽くされてしまいました。
何ていう毛虫なんやろう、とネットで調べたところ、なんと、毒々しい
毛虫なのに成虫はとても美しい「ルリタテハ」という蛾らしい。
今まで捕ってはゴミに出してたんだけど、「なんか気の毒なことをしたわ」、
と罪悪感を感じて捕るのをやめました。

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無残なホトトギスの葉         ルリタテハの幼虫

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ホトトギスの葉は食べられて無残。
ルリタテハの幼虫。
こんなふうにぶら下がるとサナギに
なる準備。成虫の写真はこちら

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金木犀

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↑河原撫子、私の好きな花です。
「大和撫子」に例えられた花。


さて話はコロッと変わりますが、10月入ってすぐの土曜に久々に生協
(コープしが)の「川探検」という企画に参加してきました。
10年以上前に私が企画して毎年30人規模でやってたものなんですが、
生協から「手伝って」と声がかかり、久々に川に入って水生昆虫捕りに
燃えました。
琵琶湖博物館の水生昆虫の学芸員(理学博士)の桝永先生に来ていただき、
参加者とともに川の草の下に網をガシガシ入れて… 捕れた捕れた、沢蟹や
黒トンボ、オニヤンマなどのヤゴ、タイコウチにカワムツ、ドンコ、
ヨシノボリなどなど、10年前と変わらぬ昆虫や魚がいて、生き物が住む
キレイな川が変わらずそこにあることを実感し、うれしくなりました。

1才児をおんぶしながら川に入るお母さん、3才児の手を引き川に入り、
子どもほったらかして夢中で捕るお父さん、孫を連れて川を動き回る
お祖父ちゃんと、たくさんの人たちが生き物探しに目を輝かせて
楽しんでおられました。
琵琶湖博物館の桝永先生から「こうやって網を草の下に入れて草の上を
足でグイグイ押すと捕れるよ」と教わり、みんなが先生とガサゴソグイグイ。
びっくりした生き物たちが飛び出して網に入ります。オニヤンマや
タイコウチなどの大物が捕れるとみんな大騒ぎ。

1時間ほど捕ったあと、それらをバットに分類し、先生からそれぞれの
特徴や生態を教わります。
「アメンボは「飴ん棒」と書く。飴の匂いがするからこの名前が
ついたんだよ」とか、「タイコウチは太鼓を打ってるような動きをするよ、
見てごらん」、とか、「オニヤンマのヤゴはトンボになるまでに2年かかる。
だからオニヤンマがいたら、少なくとも2年はこの川がキレイでトンボが
住める環境だったことがわかるんだ」など、いろんなことを教わり、
みんな気分は虫博士。
図鑑の写真も見せてもらいながら、「大人になったらこんな姿」、
「沢蟹は水温の低いキレイな水にしか住めない。沢蟹がたくさんいる
この川はキレイな証拠」とか、虫好きにはたまらなく楽しい時間でした。
顕微鏡も持ってきて下さり、小さなヤゴに節がいっぱいあって、
だから節足動物なんだとわかったり、背中のヒレみたいなのがウヨウヨ
動いてて空気を取り込んでいる様子がわかったり、ヤゴの下あごを指で
つまんだらビヨーンと伸びるのを見せてもらい、「このアゴを伸ばして
餌を捕るんだよ」と教わり、参加者は「へぇーっ!!」「ほぉぉ〜…」
と感心しきり、ほんと楽しい。
桝永先生への質問タイムでは、
「なぜハエを研究しようと思ったの?」(先生のご専門はハエ)
「ハエの専門なのに、なんで何でも知ってるの?」
「御嶽山の噴火灰で川の虫は全部死んだの?」
とか、素朴な質問がいっぱい。

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川探検のようす。
滋賀県大津市千町付近を流れる
千丈川。夏には蛍が飛びます。

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分類した水生昆虫や魚を説明する
桝永先生。   

先生は「小さい時から虫が好きで、新種を見つけたいと思っていた。
そこで先生に相談したら、昆虫や蝶などメジャーな虫は日本では研究者が
いっぱいいて、外国のジャングルとかに行かないと新種は見つからない。
我やハエはまだまだ日本でも新種が見つかる。ハエは汚いイメージだか、
川にはキレイなピカピカ光ったハエがたくさんいる。だからハエの研究を
しようと思った」「博物館にはいろいろな専門家がいるので、その人たちと
毎日話してると他の虫や魚や鳥や生き物のこともわかるようになる。
博物館ではいろんな展示をするので専門以外のことも詳しくなる。」
「生き物は弱いけど、実はすごい。火山の噴火や洪水で絶滅したと思っても、
岩の下に隠れて生き延びてるものが必ずいる。3年くらいしたら少しずつ
また増えてくる。

1年前の台風でこの川も氾濫して岩や草がかなり流されて川の景色も
変わってしまった。でも、こうやって生き延びている昆虫たちがいる。
それはすごいこと。」などと丁寧に教えて下さいました。

先生は数日前まで九州におられだそうで、九州では鹿が増えて大変
なんだとか。「鹿が増えると山の下草を食べてしまい、山に草がなくなる。
草がなくなると虫が住めなくなり、虫がいないから鳥もいなくなる。
だから山に入っても鳥のさえずりや虫の声もなく、シーンとしていて音がなく、
なんとも不気味な感じがした。鹿が増えるとマダニが増え、人間にも動物にも
移るんです」と話して下さいました。

3時間ほどの川探検は本当に楽しくてためになる環境活動でした。

私は小さい頃、よく父に連れられ川に行ったものです。
虫も魚もそんなに興味ない私は、「川より遊園地連れてって!」と
せがんでいました。中学生や高校生になるとさすがに川には行かなくなり、
でも、川がコンクリート三面張りになると、「あの虫や魚はどうなったんやろう、
生きていけるのかな」と胸がチクチクしたのを覚えています。
今思えば、あれが私の環境意識の芽生えだったのかもしれない。
環境の知識は本やニュースや勉強など、いろんなものから得られるけれど、
生き物や環境を守りたいという根っこの「気持ち」は、川遊びのような体験が
元になるのかもしれません。
そういう「気持ち」を作ることが親の役割、大人の役割かな、と思った1日でした。

家に帰ると、なんか足がヒリヒリ痛い。ジーパンをめくるとそこらじゅう傷たらけ。
石や草で切ったのか…そういえば、岩で足を取られ、何度もこけかけたし…。
息子に「見て見て、傷たらけや」と見せると「年なんやからええかげんにしとき。
気持ちに身体がついていってない証拠や」と冷たく笑われ、川遊びの懐かしさと
ともに老いを感じる1日にもなりました…。

posted by 安楽満 帆志 at 00:00| Comment(0) | エッセイ